2017年6月10日土曜日

死後写真展、中間報告

 2017年2月から始まった書肆ゲンシシャ「永遠の命」展は、おかげさまで盛況につき、現在に至るまで続けてこられました。ありがとうございます。
 5月には京都のアスタルテ書房にて一部死後写真を展示し、別府の店舗においても、展示替えを行いながら約半年間にわたって継続してきました。
 これだけ長い間「永遠の命」展を続けていると、様々なお客様の反応が見られます。
 今回はその中から特に関心が高いだろう事例を書き出しておきます。

①死後写真展を開催中だと知って来られたお客様の場合

 TwitterやFacebook、Instagramの投稿であらかじめ死後写真展を開催中だとご存知の上で訪ねてこられた場合、 展示ケースの中の写真には目を向けられますが、書肆ゲンシシャ店内に散りばめられた大型の写真を見て「まさか死んでいるとは思わなかった」とそれでもそう仰られる場合が多く見受けられます。
 今回の展示では従来のダゲレオタイプやティンタイプの写真に加えて、大判の写真もいくつか展示しております。
 そして、「悲しくて見ていられない」「愛情が伝わってきた」「ずっと見続けていたくなる」とお客様の反応は様々です。
 死後写真集を一時間、ずっと凝視し続けるお客様もいらっしゃれば、死体の写真はいいものの、死後写真は親や遺族の哀しみが伝わってきて見ていられない、とおっしゃられるお客様もいます。

②死後写真展を開催中だと知らないで来られたお客様の場合

 ランニングシャツ姿など、明らかに通りすがりだと思われるお客様も当店にはもちろんいらっしゃいます。その方々に死後写真を見せ、「死んでいます」と言うと、まずいただく返答が「当たり前でしょ。昔の写真だから」とそう口々におっしゃいます。そこで「写真を撮られた時点で死んでいるのです」というと、みなさま首を傾げられます。 そして「これは死体です」と言うと、途端に目の色を変え、写真を凝視し始めるのです。
 そして、アハ体験を味わったかのように、すっきりとした笑顔で帰って行かれます。口々に「知らなかった」とおっしゃられ、知的好奇心を満たされて帰られるのです。

③お客様が中国人、韓国人の場合

  別府は観光客のほとんどが東アジアの方ですから、その内の何名かが当店に立ち寄られます。そして、日本人のお客様と接する時と同じように、「これは死体の写真です」というと、②の場合と同様に、興味津々で覗き込んでいかれます。やはり東アジアに死後写真の風習はないのでしょう。みなさま死後写真集を手にとって、この本は英語で書かれていますから、熱心に読んでいかれます。新しい驚異に出会い感動するわけです。もともと観光客は好奇心旺盛な人々なので、じっくりと見て行かれます。

④お客様が欧米の方だった場合

 別府は国際観光都市なので、アメリカやヨーロッパの方々も多く住まわれています。彼らが当店にいらした時には、「死後写真です」「知ってるよ」と、さも当たり前のことかのように即答されます。そして「うちの家にも祖母の死後写真があるんだけど」「向こうで蚤の市で見つけたら買ってきてあげるよ」とそんな調子なのです。
 死後写真が、欧米においては、ごく自然に、当たり前に存在している文化だということがよくわかります。

⑤まとめ

 このように、まずは四パターンに分けて書いてみましたが、実際に展示をしていることで、人によって、また出身国によって実に様々な反応があることがわかります。
 日本人の中には、欧米に生まれなくてよかった、とおっしゃられる方もいらっしゃいますが、欧米人にとっては、本当に、当たり前に存在していた文化なのです。
 別府が国際観光都市であることで、様々な方の目に触れられたことは幸運でした。
 これからもしばらく「永遠の命」展を続けていくことにします。
 今後とも何卒よろしくお願いいたします。