2017年10月27日金曜日

骨董市に見る骨董屋の裏事情

 大分では、古書組合が開催する古書市がないため、定期的に骨董市に参加しています。
 その中で垣間見た骨董業界の裏側について綴っていきます。

 骨董市では、ひとつずつ骨董品が競りにかけられていきます。「◯◯円!」と皆に聞こえるような大声を出して、競っていきます。品物を見てから長くても一分以内に競りが終わってしまうため、素早い判断力が必要になります。
 ヤフオクだと、オークファンで過去の落札相場を確かめる時間がありますが、本当に直感を信じるしかないのです。
 そんな中、ある日、表に100万円という値札が付いた掛け軸が出品されました。
 競りは大体1000円からスタートするのですが、なかなか声がかかりません。終わり間近になって、ひとり、「1000円」と声をだすと、その値段で落札されました。
 お宝鑑定団で、よく、100万円で買った壺が偽物で、1000円とボードに書かれてうなだれている出品者の方を見かけるでしょう。それと同じ現象が骨董市でも起こったのです。
 しかし、しめしめと落札した業者はしたたかな顔をしています。聞いてみると、これをいくらで売ろうか考えている、とのこと。100万円は無理でも、数十万円では売ろうと思うと。
 1000円で仕入れた商品が数十万円で売れると、ものすごい利益率です。その品物がひとつ売れただけで数カ月分の収入になります。
 古本屋では、本というのはタイトルと作者で検索すると「日本の古本屋」やオークファンなどで大体の相場がわかるのですが、なるほど、骨董屋で真作か贋作かということは、容易にはわかりません。そこでこうしたことがまかり通ってしまうのです。
 おまけに骨董屋が本物だと思ったと主張すれば、詐欺罪に問われることもめったにないのです。
 つくづく骨董屋とはヤクザな商売だと思い知らされました。

 もうひとつ、この骨董市では絵画や本も出てくるのですが、あとで調べてみると、大体ヤフオクの3倍から10倍の値段で競り落とされています。それなのにどうして利益が出るのか。それはヤフオクをはじめネットを見ないご老人たちに高値で売りつけているからです。
 それならいっそ、ということで、ヤフオクで仕入れて、転売している骨董屋もいます。
 骨董屋に必要なのは、「信用」と、「太い顧客」なのです。
 たとえオークファンで落札相場がいくら、と言っても、そもそもネットを知らず、どうしても欲しいという方がいれば、現実にはその何倍もの価格で取引されるのです。
 こうしたことからも骨董屋はあこぎな商売と思ってしまいます。

 こういうことがあってか、「古本屋は骨董屋より上に見られる」らしいのです。まだデタラメな値段をつけていないだけ、「カタギ」の商売だと思われているのでしょう。
 けれども、現状を見るに、古本屋より骨董屋のほうが生き残っているのも現実です。別府市内だけでも、古本屋は数軒しかないのに、骨董屋は数十軒存続しています。湯布院までいくともっとです。観光客や中国人の客を目当てに信じられないほど儲けている業者がいます。
 古本はもはやeBayなどの出現によって、世界的に相場が統一されてきています。本に関する知識がなくとも、ネットさえわかれば値付けができるのです。
 けれども、贋作がある骨董屋ではそうはいかない。
 というわけで、骨董についても勉強を始めております。将来的にはゲンシシャで骨董品も展開していきたい、そう考えております。