2017年11月14日火曜日

「別府大分芸術祭」に寄せて

「4人の幻視者たちがアートで激突!」

 湯けむりが幻視へといざなう魔術都市・別府にて
 若い創作者たちの情熱が糸のように紡がれ
 歴史を秘めた公会堂に集い、新たな交響曲を奏でる

 書肆ゲンシシャに縁がある人々で結成された「幻視者の集い」が、別府市公会堂にて「別府大分芸術祭」を開催する運びとなりました。
 メンバーは、書肆ゲンシシャ店主・珍奇コレクターの龍國竣、点削画家の塚崎司孔、創作人形師の坂口愛子、油彩画家の新宅和音です。
 舞台となる別府市公会堂は、神澤又市郎初代別府市長の発案により、吉田鉄郎設計のもと、昭和3年に建設されました。吉田鉄郎(1894~1956)は、多くのモダニズム建築を設計し、東京中央郵便局など、逓信建築の先駆者のひとりとして知られています。平成28年4月1日にシンボルであった正面階段を復元し、リニューアルオープンしました。
 このような歴史ある、別府の象徴とも呼べる建物に、大分県内で活動する若い才能の結晶が集います。
 龍國竣は、幻想文学や絵画を研究、紹介すると共に、古今東西の珍品を蒐めながら、東京や大阪で講演活動を行っています。大分県別府市出身、在住で、「驚異の部屋(Wunderkammer)」として、書肆ゲンシシャを青山町にて運営しています。
 塚崎司孔は、独学にて点削画を確立し、相次いで作品を制作しています。針を使って点単位で削りとることで花魁や力士、武士などを「クールJAPAN」をテーマに描き出しています。大分県出身、宇佐市に在住しながら、韓国やドイツで作品を発表しています。
 坂口愛子は、四谷シモンに師事し、エコール・ド・シモンで球体関節人形を学びました。金子國義風の、繊細な顔立ちをした人形を制作しています。大分県出身、大分市在住で、どこか妖艶さすら感じさせる少女の人形を形作っています。
 新宅和音は、傷ついた少女など、瑞々しく生命力に溢れていながら、同時に脆さ、儚さを内に含んだ絵画を幻想的に描き出しています。大分県出身、別府市在住で、東京の画廊などで作品を発表しています。別府市内では、これまでにここちカフェむすびの、書肆ゲンシシャで個展を開催しました。
 本展はベップ・アート・マンスの企画として実施されています。本物のアートを通して、みなさまの心が豊かになれば、あるいは、感動をもたらすことができれば、幸いです。
 幻視は一時的なものですが、これまでの日常を異化し、奇異な幻想世界へといざなうものです。
 新しい扉を開けましょう。

                                                   主催者